「高齢者の働き場所」
高齢者の仕事について、興味深いコラムがあった。
作家の曽野綾子氏の書いたものだが、納得できる内容であった。
高齢者が元気に歩いているのを見た中年の方が、「その元気があるならもう少し働いたらどうか」と言ったらしい。
しかし高齢になれば、人間どこかに弱い部分を抱える身となる。
中年世代には、理解しずらい体の不調と加えて、働きたいと思っても現実には場所がない。
見た目が元気そうであっても通風や神経痛・関節の故障など、普通に働けない状況の人もいる。
歩いてリハビリしているかもしれないのだ。
さらに精神的な性向には2種類あり、「遊んでいるのが好きな人」と「いつまでも社会と繋がっていたいと望む人」がいるそうだ。
確かにそんな風に分類されると、なるほどと思える。
うちのハウスでもお掃除をお願いしているのは、私より年上の元気な人たちである。
70歳前後なので意見も合い、子育ても終わって落ち着いている。
この世代になると、時給の高い仕事はなかなか見つけにくい。
体も酷使できないので、出来る仕事を探すのは大変だと思う。
一度お願いすると、余程の事がない限り、続けてくれる。
さらに住人さんとも親しくなり、信頼関係を築いてくれる。なかなか好評であるのだ。
時々体調を崩すのも、この年代ならではで、
風邪をひいたりインフルエンザや腰痛と様々であるが、
そうした時は治るまでの間、私が代行してお掃除をする。
ほとんどの方が「ご迷惑をかけるので、次の方を」と言うのだが、私は待っている。
今まで培ってきた信頼関係を、また新たに築くのは大変だからだ。
ありがたい事に、住人さんも苦情を言わず待ってくれる。
私に時間の余裕があるときは問題ないが、空室が多い時は見学希望者の案内が頻繁にあるので、
1つのハウスの清掃に関わる時間が充分取れなくなってしまう。
事情を話し、住人さんに協力を求め、何とか乗り切って復活を待つ。
職場を奪うのは簡単であるが、信頼され、楽しく働ける職場を再び探すのは、
とても難しいと思うので、あえて待っているのだ。
幸い、私は60歳をすぎても、裁ききれない量の仕事を授かっている。
しかし、ほとんどの人は思うように仕事に就けないのが現状である。
一緒に仕事をやっていく人は、ごく僅かではあるが、共に長く頑張っていけたらと思う。
2014・1・19
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2015年3月17日 |